「本当の…」
校長 髙田 晶子
9月9日(土)に里中学校開校40周年を記念し、第40回記念体育祭を実施いたしました。天候にも恵まれ、保護者、地域の皆様のご協力のもと、さらには魂響和太鼓会の皆様の演奏で花を添えていただき、盛大に実施することができました。「大きな声援」の中、生徒たちが一生懸命取り組む姿に一歩一歩里中学校が「前進」していることを感じ、素晴らしい一日になりました。本当にありがとうございました。
今年の夏、栃木県足利にある「こころみ学園」(知的障害者施設)を訪問しました。設立時の川田昇園長さんは2010年に89歳で亡くなられましたが、その遺志を継いで現在も約150名の方々が生活をしている施設です。川田園長先生の著書の中に次のような言葉が残されています。
『ある時、実習に来ていた大学生と一緒に、子どもたちが山の原木の伐採をやっていました。その時私は、子どもも集めておいて「こうやって切れよ」と一回だけ見本を示して、後は聞きに来ても一切教えませんでした。「先生切れねえ」と言うから「ああ、さっき言った通り、昨日言った通り」そこなのです。自分から気づくまで教えてはいけないと思うのです。ただし、やっている見本はどこにいても示しておかなくてはいけません。職員が懐手なんかして動いていなかったら失格です。子どもたちが作業具を下げていれば、職員も同じようにしているようでなければ、本当の指導はできません。』
子どもたちの本当の嬉しそうな顔は、私たち大人にとってはこの上もないご褒美です。
園長さんは、「子どもたちに自分でできることをさせ、その中から自ら気づいてわかることでなくては本当ではない」とも述べています。これは、子どもたちに関わる大人すべてに当てはまることで、指導者が能率的にやりこなす方法を指導したのでは、本当の指導につながるのだろうかと考えさせられました。日々を振り返れば、時間に限りがあり、多忙と言われる毎日を過ごしている人がほとんどです。それでも、子どもたちから嬉しそうな顔のご褒美をたくさんもらうために、一緒になって作業する、一緒になって生活する本当の大切さを、学園の訪問を通して改めて考えさせられた夏でした。
10月14日(土)には40周年記念式典を開催いたします。実行委員会の皆様とともに準備が進んでおります。里中生の前進する姿を披露できればと考えております。ご支援をよろしくお願いいたします。