校長室から

【2017.02】大人の会話

立春が過ぎ、春の気配を心待ちにする季節となりました。里中4階から見える富士の眺めも清々しく、あまりの安定感と美しさに、凛々しくさえ見えます。そのような中、3年生は入試本番となり、引き締まった顔つきには逞しさを感じます。1,2年生も校外学習や小中交流会に向け学年の行事を一生懸命取り組んでいるところです。
さて、以前アメリカの週刊誌に「日本語は悪魔の言葉」であると言われたことがあったそうです。50年も前のことだそうですが、その根拠は第一人称を使わないことだと言います。日本語に第一人称を表す言葉は豊かなほどあります。・・・わたくし、わたし、ぼく、おれ、自分等・・・。それを抜かして文を平気で書いているというのです。ないから使えないのではなく、あるけれど使わないという解説がありました。
そこには、わかり切っていることは言わないという日本語のもつ魅力があるわけです。確かに日常では第一人称をかなり省いています。「行きます」と言えば、私が行くに決まっているし、相手が行くのなら「行きますか」となり、これを大人の言葉のほうがいいですから「いらっしゃいますか」となるわけです。また、親が子どもを前にすると「お父さん」「お母さん」と言ったり、学校の教師も自分のことを「先生」と言ったりすることもあります。そのようなことを考えていると、日本語は悪魔の言葉ではなく魔法の言葉ではないかとさえ思えてきます。
そして、日本語はアイマイであると言われます。アイマイは平和な言葉であって、論理は攻撃的であるのだそうです。「違います」とはっきり言うより、「そういうことも考えられるかもしれませんね」「そうですかね~」「え~」などと、はっきり言わず少しぼかして言うのも知恵の一つでしょうか。話をする時に、相手の思惑を考えるようになり、想像力が働き、思いやりの心が動きます。そのように頭の中で考えながら話ができるのも、日本語が魔法の言葉だからではないかと思います。
昨年のこの時期に、「大人のあいさつ」について全校集会で取り上げました。中学生は大人のあいさつができます。それは、あいさつをしながら通り過ぎるのではなく、きちんと止まってあいさつをすることです。「大人のあいさつ」をすることで、相手を見てあいさつができ、お互いに心地よさが残ります。自然に心のゆとりも生まれてきます。
それに続き、これからは「大人の会話」も大切にしていきたいものです。自分が自分がと自己主張が強い時代でもありますが、それではいつまでたっても子どもみたいな大人が増えるだけです。その裏側にある相手を尊重しながら会話ができ、アイマイさを使いながら和やかに「大人の会話」を楽しんでいきたいものです。

-校長室から

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